第82話 2023セントウルS「ダビスタのアグリキャップに憧れて」

いつもの3人は今日も夕ぐれ食堂。
懐かしい競馬ゲームの話で盛り上がっている。

「ダビスタはほんとにハマったもんなぁ。
大学時代はバイトが終わってから下宿先に帰って、先輩と一緒に徹夜でやりこんどった。
探しあてたい繁殖牝馬が出てくるまで何年も飛ばしとったもんよ。
今でも憶えとるわ、スキップフロア。
スキップフロアにノーアテンションをつけて安定Cの爆発ば狙いよったもんなぁ。」
ビールを飲みながらコギンちゃんがいう。

「私も夜更かししてよーやりよったですもんね。
今のダビスタと違って、昔はレース中は馬の脚音だけやったでしょ？
あれが眠気ば誘うとですよね。
夜が明けること、レースの途中で力尽きて起きたら昼過ぎってこともよーありました。」
懐かしそうにガンちゃんがいう。

二人よりちょっとだけ年上のとっしゃんも乗ってきた。
「ダビスタち言えばマチカネイワシミズにオオシマナギサやろうもん。
あれはとんでもない馬が出よったもんな。
おいもそん配合で作ったゴーゴートッシャンが7冠馬になったもんね。」
馬名はゴーゴーゼットから拝借したらしい。

「あと、あれ、なんやったっけ？
めちゃくちゃ強か馬がおったろうが。一般の人が作った馬で。
確かそれもノーアテンション産駒やったろう」
とコギンちゃん。

「サイキョウクラウドでしょ」
ガンちゃんが誇らしげに答えをくれる。

「そうそう！サイキョウクラウド。
あの名前は当時のダビスタファンはみんな知っとるやろ。
なんとも響きがええわな、サイキョウクラウドって。
ゲーム雑誌にも載っとったもんなぁ。」

ダビスタなんて全く知らない弓子さんをよそにひとしきり盛り上がった3人。
ようやく現実の競馬の話になった。

「いよいよ秋競馬やな。
昔は秋の始まりはスプリンターズステークスやったもんなぁ。
秋華賞もなかったし。
そんな番組も全部ダビスタで覚えたもんなぁ。」
コギンちゃんはまだ言ってる。

「もうダビスタの話はヨカでしょ。」
ガンちゃんがたしなめる。

「いやいや、それがそうもいかんのよ。
明日のセントウルS、俺のデンデン（◎本命）は⑧アグリ。
ほら、昔のダビスタでは本当の馬名が使えずにちょっとだけもじった馬名やったろ？

トウカイテイオーはコウカイテイオー、メジロマックイーンはメジロマッコイーン。

そして何を隠そうオグリキャップは、そうアグリキャップ！

俺は馬柱にアグリの名前ば見るたびにダビスタば思い出すとたい。