日本ダービーは競馬関係者にとって特別なレースです。
騎手や調教師、生産牧場などの競馬関係者は、ある意味この日のために努力を続けているのだと言っても過言ではないでしょう。
だからこそ18頭の馬がいれば18頭のドラマが、他のレース以上に際立ちます。
ダービーの週は、競馬ファンにも、メディアを通していつも以上の様々な情報が入ってきます。
それによってレースを楽しむ視点をたくさん得ることができます。
それらの情報を知れば、思い入れも深くなり、お気に入りの馬を応援する気持ちも一層高まってきます。
そのうえ馬券を的中できれば、より嬉しいですよね。
そこで今回は、私の競馬本蔵書の中から、プロフェッショナル達による日本ダービーに関する格言・セオリー・金言をピックアップしてみました。
随分前の出版物ばかりですが、時代の変わった今でも十分参考になるかと思います。
- 『トライアル組が勝つのは至難の技』 藤沢和雄
- 『1番人気は実力の証明。侮れない』藤沢和雄
- 『東京2400Mはスタミナはほどんど必要ない』 岡部幸雄
- 『タダもらいのオークスを捨てた意味がどこにあろうか』 清水成駿
- 『ダービーは運がなければ勝てないと言われるけど、あれはウソ』 田原成貴
『トライアル組が勝つのは至難の技』 藤沢和雄
来年2月で引退される藤沢調教師が2008年に出版された本が「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」です。
随分年月は経っていますが、色あせない金言が多く、今でもG1の時期になると読み返しています。
日本ダービーについてもいくつかの金言を書かれていますので一部ご紹介です。
まずは皐月賞組とトライアル組の比較、認識についての金言です。
トライアルで権利を取って最後に滑り込んでくる馬は、強そうに見えても、やはり王道を来た馬にはかなわないことが多い。
なぜかというと、そういう馬たちは、散々負け続けてきた馬たちを相手にやっと勝ち、500万クラスでも、嫌というほど走っても勝てないような馬たちを負かしてトライアルに出てくる。
だから、ちょっといいところのある馬ならそのトライアルも鮮やかに勝つだろう。
だけど、王道を来た馬というのは、その何カ月も前に500万クラスを勝って、皐月賞にも行って、確かに皐月賞ではぼろぼろになったかもしれないが、トライアル組は、そんな馬たちにコテンパンに任された馬たちを負かして出てきたにすぎない。
(出典:「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」藤沢和雄)
続いて同じ本からもう一つご紹介します。
『1番人気は実力の証明。侮れない』藤沢和雄
こちらは日本ダービーに出てくる人気馬についての金言になります。
今年でいうとエフフォーリアが一番当てはまるでしょうか。
横山武騎手が「力のある騎手」であればおのずと結果はついてくるということでしょうか。
ダービーは1番人気に推された馬がよく勝つし、波乱が少ないレースだ。その理由は、タフな東京競馬場で行われ、しかも距離が長くなるから、実力差がはっきり出るのだろう。皐月賞で好走したような馬には、たいてい力のある騎手が乗ってくるし、そういう馬は実力馬だし、結局そういう馬が人気になる。だから、ダービーでは人気馬をやみくもに軽視してはいけないということだ。
(出典:「G1の勝ち方 サラブレッド金言108」藤沢和雄)
『東京2400Mはスタミナはほどんど必要ない』 岡部幸雄
言わずと知れた元トップジョッキー。こちらは1994年に出版されたものになります。
G1が行われる舞台をいくつかピックアップしそのポイントを解説している欄があります。
その中でもダービーの東京2400Mについて語っておられる場面があります。
これも参考になる言葉ではないかと思います。
これまで2400Mは、スピードとスタミナを兼ね備えた馬が有利とされてきた。
しかし、この考え方を変える必要がありそうだ。
極端な言い方をすると、2400M戦では、スタミナはほとんど必要ない。
(中略)スタミナではなく、スピードをどこまで持続できるかの勝負に変わってきていると考えた方がいいだろう。
(出典:「勝つための条件」岡部幸雄)
『タダもらいのオークスを捨てた意味がどこにあろうか』 清水成駿
予想欄にひとりポツンと打った「孤高の◎」で次々に大穴を的中し、カリスマ予想家と呼ばれた清水成駿さん。
この本の中でウォッカに◎を打った2007年の日本ダービーを振り返っておられます。
今年はサトノレイナスが牝馬ながら日本ダービーに挑戦してきます。
実はあのウォッカも桜花賞は2着。
清水さんの言葉も心に刻んで予想に臨みたいものです。
ウォッカは右で内に刺さる分、当然、左回りの方がいい。
(中略)唯一わからないのはホウオーとの力差だけ。オーラとて2馬身も負けていない。仮に両馬に1馬身の能力差があったとしても、それは2キロの斤量差で埋め合わせがつく。
大きな賭けであるが、その辺りは走らせる側も計算済み。
そうでなければタダもらいのオークスを捨てた意味がどこにあろうか。
勝てるからこそのダービー挑戦に他ならない。
(出典:競馬無敵の「孫子流21攻略」 清水成駿)
『ダービーは運がなければ勝てないと言われるけど、あれはウソ』 田原成貴
昭和後半から平成初期に競馬界を席巻した天才ジョッキー・田原成貴。
私の大好きな騎手でした。
騎手引退後は調教師としてフサイチ軍団のメイン厩舎を務めるなど順調なスタートを切っていたものの、2001年に銃刀法違反・覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されたため調教師免許を剥奪。その後も複数回に渡って逮捕されて、JRAから無期限の関与停止処分を受けています。
漫画の原作、小説、音楽などでも多彩な才能を発揮していた異能の天才です。
最近は東スポに登場されていますね。
ここでは、1996年に出版された本の中で、武豊騎手との対談で日本ダービーについて語った部分をご紹介します。
これはエフフォーリアの横山武ジョッキーについて考えるときに参考になる言葉ですね。
武豊:
ボクはまだダービーでいい成績が挙げられないけど、乗りにくいレースだとは思わないんです。皐月賞より気楽に乗れると言ったらいいか。
田原:
同感。よく「ダービーは運がなければ勝てない」と言われるけど、あれはウソ。ダービーは強い馬に乗れば、勝つ確率は皐月賞より高いと思う。府中の2400Mならドンと構えた競馬ができる
(出展:競馬場の風来坊 田原成貴)
いかがでしたでしょうか。
古臭いと思われた方もいるかもしれませんが、こういうことを知っていると予想の視野が多少なりとも広がるような気がします。
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